翻訳の仕事のこととか中国語のこととか中華圏旅行のこととか。当たり前だけど内容はあくまで個人の見解です。
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3年くらい前だったかな?とある翻訳業界団体の中国語産業翻訳業界セミナーに行ったとき、講師の先生が、翻訳の品質管理に関する話題でだったと思うんですが、「近年中国語翻訳業界では、中日訳にしろ日中訳にしろ翻訳は中国人に、チェックは日本人に、という役割分業が進みつつある。日中訳は訳文ネイティブの中国人に頼んだ方が自然な中国語になるし、中日訳は原文ネイティブの中国人の方が原文理解力があり、誤訳が少ないから。ただ中国人は翻訳は上手いけど性格が大雑把なので翻訳のクオリティを維持したり向上させるチェック作業には向いていない。一方日本人は性格が細かいので、そうした作業に非常に向いている」というようなことをおっしゃっていて、以来、駆け出しの頃から割とコンスタントに中日訳のお仕事をくれていた翻訳会社さん(正確には受注量はチェックと翻訳半々くらいの量でしたが)からチェックのお仕事しか来なくなったり、駆け出しの頃に登録して以来全然連絡がなく、こちらも登録したことすらすっっっっかり忘れていた(←ヲイ)翻訳会社さんからいきなりチェックのお仕事の打診が来たりして「え…!?」と思ったものなのですが(失笑)。
私がそれまで自分が勤めていた会社等を通して聞いていたのは、「単価に魅力を感じて中国で翻訳してもらったら、そのままではとてもじゃないけど使い物にならない訳文がきてガックリ。その後のチェック作業に非常に時間がかかってしまって、最終的に日本で翻訳やったときと変わらないくらいのお金がかかってしまった。だったら初めから日本でやった方がいいじゃん?―ということで、一旦中国にお願いすることになった翻訳を、日本に戻す企業さんも出てきている」っていう話だったんですよね。
確かに翻訳の仕事自体減って来て周りの日本人翻訳者さんと「最近仕事ないよね~減ったよね~」「あっても単価安いしねぇ…」なんて話題で盛り上がったり、当時取引のあった中国語を専門にしている複数の翻訳会社さんから「今はこの単価じゃ仕事とれないんですよ…今はその半額…いや半額でも高いくらいですよ」と言われることはあったんですよ。でもそれまでと変わらない単価で変わらず和訳の仕事下さった翻訳会社さんもあって、一旦落ち込んでいた和訳の受注本数も持ち直して来たりもしてたので、「ああ~やっぱあの話(翻訳が日本の翻訳者に戻ってきている)は本当なのかしらね~」なんて思っていたところだったので、なんかあのセミナーによってその流れがぶった切られてしまった感じがなきにしも非ずなんですけれども(あとで参加者名簿見てみたら上記の翻訳会社さん、いずれもそのセミナーに参加されていたようなので…。他にも要因あるのかもしれないけど、ただの偶然にしてはタイミング良すぎな気が…)
まぁそんな私の憶測の域を出ないただの愚痴は置いといて。日中訳チェックのお話。
私がチェックのお仕事受けるとき、その訳文をどこの国の人が訳したかなんてのは教えてもらったり教えてもらわなかったりするのですが、上記セミナーの講師の先生のお話からすると、やっぱり日中訳は中国人が訳していると見て良いのかしらね?私が経験した中でも、日本人に中訳お願いしたり、中国人に和訳お願いするケースも確かにあったけど、圧倒的に「中訳は中国人、和訳は日本人」が多かったし…。
上記セミナーの先生は「中日訳は原文ネイティブの中国人の方が原文理解力があり、誤訳が少ない。日中訳は訳文ネイティブの中国人に頼んだ方が自然な中国語になる」とおっしゃっていましたが、確かに日中訳は中国人に頼んだ方が自然な中国語になるんだろけど、「中日訳は原文ネイティブの中国人の方が原文理解力があり、誤訳が少ない」の理論は翻せば、「日中訳は中国人にお願いしても、原文に対する理解は日本人ほど正確ではなく、誤訳が多い」ということになると思うんですが、どうでしょう(笑)。
別にそれを裏付けるつもりはないんだけど、確かに日中訳って今も昔も「訳文は読みやすいんだけど誤訳が多いなぁ」という印象なんだよね…あくまで個人的な印象ですが。
別に誤訳があるのが悪いってわけではないんですけどね。翻訳者だって人間だから間違えるときだってあるし、体調優れないときとか、納期が短かったり丁度他の仕事とか予定がブッキングしてしまったとかで十分読み込んだり調査したり推敲してる時間がなかったりすることだってあるし、そもそも原文の構文が複雑だったり読みづらかったりすると間違えやすいものだと思うので。
だからその辺は仕方ないと思うし、そもそも私が翻訳するときもどんなに気を付けていても全くのノーミスってことはないと思うからお互い様だよなぁとは思いつつも、自分のこれまでの経験上、読みやすい訳文には誤訳が潜みやすい傾向があると思っているので(これについては今度別項を立てて書きたいと思っています)、チェックの際には細心の注意を払うようにしています。
原文と訳文、双方の文章の意味をきちんと頭の中に置いて読んで、ほんのちょっとでも読んでてひっかかたっところは紙(原文と訳文を打ち出したもの)に印をつけて読み返したり、調査したり、それでも判断つかない場合はその原文と訳文の訳を紙の端っこに書いてみたり(書くことで冷静になってどこがどう違うと思ったのかが客観的にわかるので)、しばらく時間置いて頭クリアにしてから読み返してみたり…。納期という限られた時間の中ですが、できる限り見落としがないように心がけています。
それは訳文が読みやすかろうが読みにくかろうが、和訳だろうが中訳だろうが、同じことですけど。
そういえば、以前勤めていた会社では、やっぱり中訳は中国人にお願いしてたんですけど、中に一人華僑の方がいて、その方に頼んだ中国語訳は「日本人が書いた文章みたいで読みづらい(-"-)」と中国人スタッフには不評で私をめいっぱい不安にさせてくれたのですが(笑・中国人スタッフ曰く、「中国国籍持っているとはいえ、日本で生まれてずっと日本で育ったのならそれはもう完全に日本人」だそうですが)、今思い返すと誤訳少なかったな…。もちろん完全にゼロではなかったけれど。
まぁいずれにせよ、どんなに優れていてその分野に精通した翻訳者でもミスはつきもの。どの国の人が訳したものであろうが、読みやすかろうが読みにくかろうが、自分が訳文原文どちらの言語を母国語に持っていようが、単語の一つ一つ、文章の一行一行気を抜かずにこれからも見ていきたいと思っています。
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