翻訳の仕事のこととか中国語のこととか中華圏旅行のこととか。当たり前だけど内容はあくまで個人の見解です。
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中国語の翻訳やチェックの仕事をしていると、たまに翻訳の仕事を始めて間もない頃(とある翻訳会社でコーディネータ&チェッカーをしていた頃)、同僚の中国人スタッフに↑のようなことを言われ、「ほえ!?Σ(・ω・ノ)ノ!」となったことを思い出します。
曰く、「日本語で『以上』『以下』っていうと元の数字含むけど、中国語では含まない場合があるんですよ。だから気を付けてね」。
「中国語と日本語では数の数え方が違う」という例は学校で教えてもらったことはあるのですが、それは「增加了○倍(zēngjiā le ○ bèi)」とか「翻了○番(fān le ○ fān)」の話で…。
(どんな話かっていうと、
「倍」の前に「增加」とか「多(duō)」がある場合、「倍」には元の数が含まれないので「增加了一倍( zēngjiā le yībèi)」の場合は「元々あった分から更に同じ分(1倍)増えた=2倍になった/倍増した」、「增加了两倍(zēngjiā le liǎngbèi)」は「3倍になった」になり、
「翻了○番」の場合は「『翻』は『倍増する』、『番』は2倍になる回数を示す量詞だから、2倍が○回増えた」、つまり「翻了一番( fān le yīfān )」は「2倍になった」、「翻了两番( fān le liǎng fān)」は「4倍になった」、「翻了三番(fān le sān fān)」は「2倍が3回起こった=2×2×2で8倍になった」になる
というもの。)
「以上」と「以下」は「以上」と「以下」としか教えてもらった記憶しかないので、いや~もうびっくりしたというか…「えっそうなの!?違うの!?」と…あまりの衝撃に「どういう場合が含まれて、どういう場合が含まれないの?」というごく当たり前の疑問すらとっさに頭に浮かびませんでした(苦笑)。
結局、この疑問は日ごろの業務に忙殺されて聞く機会というのは訪れなかったのですが…その後「そういえば中国語の文章って『○以上』とか『○以下』で『○』が含まれる場合って大抵『○を含む』っていう書き方してるよね(『20歳以上』の場合は『20岁以上[suì yǐshàng](含[hán ]20岁[suì])』とか、『65GB以上』の場合は『65GB或以上(huò yǐshàng)』とか)」と気づき…。
ってことは一般的には「以上」「以下」の前の数字は含まれない、と考えた方がいいのかしら?と思って辞書を引いてみたら「含むかどうかはっきりしないことがある。これを明確に表現したい場合は↑のような書き方をする」って書いてあって、「あ、一概に『含まない』とは言えないのか」なんて思ったりもしたのですが。
(ただこれ翻訳する場合、「今から30分以内にそっち行くよ!」などの日常会話なら「30」という数字が「以内」の中に含まれていようがなかろうが大した問題にはならないと思うのですが、例えば統計とか検査などの重要なデータの場合、「○以上」「○以下」の○を含むか否かで内容が大きく違ってしまう場合もあるわけで…。なので私は日中訳チェックで訳文が原文同様「○以上」とか「○以下」となっている場合、「これこれこういうわけなので↑のような書き方をした方がいいんじゃないでしょうか?」と念のためコメント入れるようにしています。もしかしたら読み手は文脈とか暗黙の了解で分かったりするのかもしれないけれど…)
ちなみに「以上」「以下」以上に盲点だったのは不等号。これも駆け出しの時に知ったのですが、日本では「≧」「≦」だけど中国では「≥」「≤」なんですよね。チェックの仕事をしていると、日中訳にしても中日訳にしてもこの記号が原文のままになっていて、「おおぅ」と思うことがしばしばあり(笑)。
まぁ翻訳者なんて文系出身者が多いと思うので知らない人がいても無理はないのかも知れない(自分の経験踏まえると、この手の数学で使う符号は普通に語学の勉強してるだけでは出てこない気がするので…)と思いつつ、社内で仕事してたときの話ですが、同じ翻訳者さんに翻訳をワードにベタ打ちしてもらった場合とワードに上書き翻訳してもらった場合、ベタ打ちの場合は不等号もちゃんと訳されてたけど上書き翻訳の場合は原文ママになってた―ってこともあったので、良く言われる上書き翻訳の弊害の一つかなぁとも思ったりしていますが^^;
いずれにせよ、「以上」とか「以下」とか不等号等の部分がきちんと訳されている翻訳を見ると私ものすごーく感動しますし(翻訳文の前でしばらく浸ってますw)、そんな翻訳を提供できる翻訳者/チェッカーでありたいなぁと思っています。
ランキングバナーのクリック、どうもありがとうございました
「翻訳チェッカー」というと、よくこういう紹介を目にします。
「翻訳者が訳して来た翻訳をチェックし、誤訳や訳抜け、誤字脱字がないかどうか、専門用語がきちんと訳されているかどうか等を確認する、誰にでもできるカンタンなお仕事。実際に仕事の現場で使われるプロの翻訳に直に触れられるチャンス。これから翻訳者として活動したい方におススメ」
実際、求人広告などでは経験不問になっていることもしばしばです。
…果たしてチェッカーの仕事というのは、「未経験でも大丈夫」な「誰にでもできるカンタンなお仕事」なのでしょうか?
私の感覚では“NO”です。
実際私がチェックの仕事(社内チェッカーですが)を始めたのは、翻訳なんて翻訳学校の課題文でやった程度、それこそ翻訳の実務経験なんてまるでなかった頃だったのですが、正直思い切り苦労しました。
工作機械のマニュアルの日中訳/英中訳チェックのお仕事だったのですが、チェックのノウハウはもちろん、工作機械に対する専門知識なんて私には全然なかったんですよね。先輩スタッフさんたちは「徐々に慣れて行けばいいよ」と仰っていましたが、やはりその分野について知っていると知らないとでは、作業効率は大きく違ってくると思います。
そもそも翻訳という作業には分野が何であれ、その分野に関する専門知識というのは多かれ少なかれ必ず必要になってくるものです。
良く言われるチェッカーの仕事内容に「誤訳の発見や専門用語がきちんと訳されているかどうかの確認」がありますが、チェッカー自身その分野にある程度精通していなければ、その専門用語が正しい専門用語なのかなんて分からないしと思うし…。
それに翻訳者が結構意訳をしてくる方だった場合、チェッカーに原文内容をきちんと理解できる語学力と専門知識がなければ、それがきちんとした知識に基づいた意訳なのか、それとも誤訳なのかの判断ってなかなかつかないと思うし、直訳になっていた場合(原文と一字一句、構文レベルで対訳になっていた場合)でも、果たしてその言い方でその訳語を母国語としている方に通じるのかどうかの判断も、やはりその分野に関する知識が多少なりともないと難しい場合もあると思います(後者はむしろ語学力とか語学センスに依拠するかもしれませんが)。
少なくとも、その分野に関する知識がないのだとしたら、それを調べられるだけの「調査力」と書いてある文章が「おかしい」と思えるセンスがないと、「未経験」で「専門知識なし」でチェックの仕事を行うのは、かなり難しいことなのではないかな…。
翻訳チェックの仕事というのは、翻訳の「商品」としての質を維持する上での大切なお仕事。時として翻訳者と同程度、もしくはそれ以上の語学センスや専門知識が必要とされ、翻訳の「商品」としての質を左右する、非常に重要なお仕事なんだと、もし私だったらそんな風に紹介したいと思います。
最近ではこの過程を重視する翻訳会社さんも出てきていますしね(もしかしたら中国語翻訳業界っていうか私の周辺だけ?かもしれませんが…←これについては次回書きます)。
まぁ社内スタッフとしてチェックを行う場合は周りに教えてくれる方や会社がこれまで蓄積してきたノウハウというのもあると思うので未経験でも専門知識なくてもOKなのかもしれませんが、少なくともフリーランスで、しかも在宅でやる場合は、翻訳同様ある程度の経験もしくは専門知識は必要なんじゃないかな…と。
なおチェッカーというと翻訳者よりワンランク下に見られがちで、実際翻訳のお仕事している方の中では「いやいや、私なんかまだチェッカーだし…」と謙遜する方がいらっしゃいますが、私はチェックの仕事と翻訳の仕事、どちらが上でどちらが下ということはないと思っています。
だってどちらも外国語で書かれた情報を必要としている方に届ける、大切なお仕事なんだから。
次回は『「翻訳の品質管理」におけるチェッカーの重要性②』と題して、中国語翻訳業界におけるチェッカー事情について書こうと思います。
コレです↓
(クリックすると、大きな画像で見れます)
リリースされた結構前なんですけど、その時は購入サイトへのアクセスが集中していたからなのか、なかなか上手くつながらなかったんですよね~。
なので「特に急ぎってわけじゃないし、しばらくたったらまたアクセスしてみようかな」と思っていたら、最近になってしまいました(笑)。
DL版とDL版⁺製本版があって、私が買ったのは後者の方。
製本版があればDL版は要らなんだけど…(アナログ人間なので)w
ウェビナー受講したので基本的な使い方は理解しているつもりだけど、やはり一度聞いただけでは頭に入ってこなかったこともあるので、こうして手元で確認できるツールがあると、すごく助かりますね
※今まで料理の話がメインだったこのブログですが、今日からは翻訳のお仕事のことや、中国語のことも積極的に投稿していこうと思います。
もうちょっと気楽に更新できるようにするため、「今日の中国語」コーナーは今後はお休みします。実はアレ結構負担だったんですよ…毎回掲載する単語考えたり、調べたりするのが…(;´Д`)
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